セゾン文化と西武百貨店よ、ありがとう

セゾン文化と西武百貨店よ、ありがとう

一時期、消費者文化をけん引した西武セゾングループ。その中核にいた西武百貨店と西友。思い出を振り返ります。

もくじ

今も魅了する企業ブランド

「無印良品」「ロフト」「ファミリーマート」「パルコ」「西友」「セゾンカード」「西武百貨店」…。

これらの企業ブランドが、一時期、同じ企業グループに属し、花開いたことをどれだけの人が知っているだろうか。

今もなお訴求力の高いこれらのブランドは、セゾングループ(西武流通グループ)に属していた。

しかし、今やそれぞれの道を歩んでいる。

こうなってしまったのは、バブル期の子会社が、無理な開発や無理な貸し付けを行ったせいで多額の不良債権を抱え、それを清算するために手放されたせいであった。

そういった意味では、グループの経営者であった堤清二氏の責任も問われよう。

しかし、こういった消費者を魅了するブランドを作ってきたという実績もまた、歴然たる事実である。

今日は、セゾングループが作り上げた、いわゆる「セゾン文化」へのレクイエムを歌いたいと思う。

西武百貨店
西武百貨店

セゾン文化とは何だったのか

そもそも、セゾン文化とはいったい、何だったのだろうか。

主に西武百貨店を起点とした文化事業を指す場合もあるし、また、西友を起点としたブランド創設を指す場合もあるだろう。

前者は後述するとして、後者は先にも触れたとおり、消費者になじみの深いブランドばかりである。

無印良品は西友のプライベートブランドから出発したし、ファミリーマートの実験店舗は西友の店舗内に設けられたところからスタートした。

まさに、生みの親である。

その西友が、いいように買収の対象としてコロコロ買われる様は、なんだか見ていて物悲しい。

さて、そんな西友が生み出した無印良品は、ブランド信仰を否定したところに企業価値があった。

シンプルさにこだわり、価格にもこだわり、余計な装飾を排した無印良品は、市民権を得た。

デパートを経営している人が、その傍らで、ブランド物を否定するために生み出した無印良品という存在は、なんだかおもしろいものである。

ただ、人間には二面性があるから、分からない話でもない。

ちなみに、無印良品は堤氏にとって思い入れの深い存在だったようで、最後まで売却に強い難色を示していたという。

西武百貨店の功績

一時期、西武百貨店池袋店は、売上日本一の座を勝ち取った。

イケイケドンドンの中、同グループを経営する堤清二氏は、まさに池袋西武を消費者文化の発信基地としていた。

デパートの中に美術館を設けたり、自前の大型書店「リブロ」も経営したりしていた。

まさに異色である。

しかも、コピーライティング等も含めた広告戦略も独自なもので、その独特の世界観に引き込まれた者も少なくなかっただろう。

今でも、パルコの広告を目にすると、その時の「残り香」があるように感じてしまう。

このような、文化・芸術と融合したセゾン文化は、独自の色彩を放ち、消費者に受け入れられた。

その発信媒体が、西武百貨店であったわけである。

西武渋谷店
西武渋谷店のフロア案内

西武百貨店、敗れる

そんな、池袋店を有する西武百貨店は、安泰と言ってしまえば言い過ぎかもしれないが、大きな支えとして、そごう・西武の中心的存在であった。

何せ池袋店は、グループの利益の3割を稼ぎ出す黒字店舗である(赤字店舗ではない)。

そうやすやすと、沈む船ではない。

しかし、記憶に新しいように、この店舗は外資系ファンド主導でヨドバシカメラに乗っ取られた。

店舗面積は大きく削られ、ただの小規模高級百貨店となってしまった。

そして、追い打ちをかけるように、西武渋谷店の閉店も決まった。

池袋店と渋谷店を有する西武百貨店は安泰との見方はあったと思うが、まさか、こんな事態になるとは。

もう、西武百貨店は存亡の危機に瀕している。

あの消費者を魅了した西武百貨店はどこへ行ってしまったのか。

西武百貨店
西武渋谷店B館

もう、バブル消費は戻って来ない

もともと、デパートの経営は、行き詰っているとの見方は強かった。

実際、地方の百貨店は、どんどん閉店している。

また、世間的には、過剰な消費を見直す動きも根強い。

見栄を張らない、お金をかけない。それを良しとする風潮がある。

そして、現実問題、消費者の購買力も落ちている。

もう、バブル期の旺盛な消費に支えられた売上高は戻ってこない。

そう考えると、そごう各店はともかく、西武百貨店の役目は終わったのかもしれない。

魅了する消費者文化の発信拠点としての西武百貨店は見る影もないし、失速感が否めない。

私は未だに西武百貨店を応援しているし、なるべく西武で買い物をしたいと考えているが、実際のところ取り扱っている商品のラインナップに限りがあり、購買意欲がそそられない。

伊勢丹や大丸などの他社店舗で済ませてしまう機会も多くなってしまった。

本当に、忸怩たる思いである。

だけれども、あの頃の知的好奇心を刺激させられた消費というのは、なんだかいい思い出だったなぁと率直に感じるのである。

だから、今後、西武百貨店がどういった未来を歩もうとも、「ありがとう。楽しかった」との声は伝えたい。

西武百貨店やセゾン文化よ、良い思い出をありがとう。

音楽新都心 たけ編集長音楽新都心 たけ編集長

関連キーワード

新しいブログ記事